非対称性JWTの理解と実装: セキュアな認証鍵

魔法使いへの道

はじめに

近年,Webアプリケーションの多くはAPI経由でのやりとりが一般的になってきました.このようなAPIを利用する際には,ユーザー認証が不可欠です.その中でも,JWTはトークンベースの認証方式としてよく使われます.

一方で,対称鍵を用いたJWTの署名方式では,鍵の漏洩や改ざんが発生する可能性があります.そのため,非対称性JWTを使うことでよりセキュアな認証が実現できます.

本記事では,非対称性JWTの仕組みや実装方法,メリットとデメリットについて解説します.

JWTとは

JWT(JSON Web Token)は、データを安全に転送するために使用される、軽量で自己完結型のセキュリティトークンの一種です。JWTは、データをJSON形式で表現し、署名を使用して認証および検証を行います。JWTは、認証情報を保存するためによく使用され、WebアプリケーションやAPIで一般的に使用されます。

https://hamaruki.com/hack-the-box-what-is-jwt/

cryptographyとは

cryptographyとは、Pythonのライブラリの1つで、暗号化や復号化などの暗号技術を扱うためのツールキットです。このライブラリを使用することで、データの暗号化や復号化、データのハッシュ化、ランダムな文字列や数字の生成などが簡単に行えます。cryptographyは、セキュリティに関連するアプリケーションや、データの保護が必要なシステムを開発する場合に役立ちます。また、Pythonでの暗号技術に興味がある場合にも、学習する上で必要なツールキットとして注目されています。

OpenSSLとは

OpenSSL(オープンエスエスエル)は、オープンソースの暗号化ツールキットで、SSL/TLSプロトコルを実装するためのライブラリを提供しています。主に、Webサーバーとクライアント間での通信を暗号化するために使用されます。OpenSSLには、デジタル証明書の発行や管理、暗号化、復号化、署名、検証、ハッシュ関数の計算など、様々な暗号技術が実装されています。

OpenSSLは、多くのオペレーティングシステムで利用可能であり、多くのアプリケーションで使用されています。また、SSL/TLS通信に加え、オンライン決済や認証、VPN接続などでも使用されています。OpenSSLは、セキュリティに関連するアプリケーションや、データの保護が必要なシステムを開発する場合に重要なツールキットとなっています。

非対称性JWTの仕組み

対称鍵と非対称鍵の違い

まず,非対称性JWTについて説明する前に,対称鍵と非対称鍵の違いについて解説します.

対称鍵は暗号化と復号化に同じ鍵を使いますが,非対称鍵は公開鍵と秘密鍵を使い,公開鍵で暗号化したデータは秘密鍵でしか復号化できません.

https://hamaruki.com/what-is-symmetry-jwt/

このように,暗号化と復号化に異なる鍵を使うことを非対称鍵暗号方式と呼びます.

非対称性JWTの作成方法

非対称性JWTでは,署名を作成するために秘密鍵を使用し,署名の検証に公開鍵を使用します.まず,署名を作成するために,ヘッダーとペイロードをBase64エンコードして,ピリオドでつなげた文字列を作成します.そして,この文字列を秘密鍵で署名します.

次に,ヘッダーとペイロード,そして署名をピリオドでつなげたJWTを作成します.このJWTをAPIリクエストのAuthorizationヘッダーに含めて送信することで,認証が行われます.

JWT署名の検証

APIサーバーでは,JWTの署名を検証することで,トークンが有効かどうかを確認します.署名の検証には,JWTに含まれる署名を作成するために使用された秘密鍵の公開鍵が必要です.公開鍵を使用して,JWTのヘッダーとペイロードを再びBase64エンコードした文字列を復号化し,署名を検証します.

非対称性JWTのメリット

セキュリティの向上

非対称性JWTでは,秘密鍵での署名作成と公開鍵での署名検証を行うため,鍵の漏洩や改ざんが発生してもトークンの真正性が保証されます.そのため,より高度なセキュリティが求められるWebアプリケーションやAPIにおいては,非対称性JWTが推奨されます.

鍵の配布が簡単

対称鍵を用いたJWTでは,鍵の配布が難しいという問題があります.一方で,非対称性JWTでは,公開鍵は自由に配布できるため,APIサービスのクライアント側で秘密鍵を保持し,公開鍵をAPIサーバーに登録することで認証が可能となります.

アクセストークンの期限管理

非対称性JWTでは,トークンの有効期限を設定することができます.有効期限を設定することで,トークンが長期間有効な状態になることを防ぎ,セキュリティを向上させることができます.

非対称性JWTのデメリット

複雑な鍵の管理

非対称性JWTでは,秘密鍵と公開鍵の2つの鍵を管理する必要があります.これにより,鍵の配布や管理にかかる手間が増えます.また,秘密鍵を紛失すると,トークンの検証ができなくなるため,注意が必要です.

パフォーマンスの低下

非対称性JWTは,対称鍵を用いたJWTに比べてパフォーマンスが低下する傾向があります.秘密鍵と公開鍵の暗号化と復号化が必要となるため,処理時間が増加する可能性があります.

非対称性JWTの実装方法

非対称性JWTの実装には,多くのJWTライブラリが存在します.これらのライブラリを使用することで,簡単に非対称性JWTを実装することができます.また,秘密鍵の保管には,安全な場所に保管することが推奨されます.例えば,クラウド上の秘密鍵管理サービスを利用することで,より安全に秘密鍵を管理することができます.

鍵ペア生成ツールをインストールする

例えば、OpenSSLを使用する場合は、次のコマンドを実行します。


$ openssl version # OpenSSLがインストールされているか確認
$ sudo apt-get install openssl # Ubuntuでのインストール方法

秘密鍵の生成

次のコマンドを実行します。


$ openssl genpkey -algorithm RSA -out private_key.pem -aes256
  • 上記のコマンドでは、RSAアルゴリズムを使用して、256ビットAES暗号化で秘密鍵を生成しています。
  • このコマンドを実行すると、パスフレーズの入力を求められます。適切なパスフレーズを入力してください。

公開鍵の生成

  • 次のコマンドを実行します。

$ openssl rsa -pubout -in private_key.pem -out public_key.pem
  • 上記のコマンドでは、秘密鍵から公開鍵を生成しています。

これらの手順を実行すると、秘密鍵と公開鍵のペアが生成されます。生成された秘密鍵は安全な場所に保存し、公開鍵は認証サーバーなどで使用されます。

PyJWTパッケージをインストールする.


pip install PyJWT

秘密鍵の読み込み


import jwt

from cryptography.hazmat.backends import default_backend
from cryptography.hazmat.primitives.serialization import load_pem_private_key, load_pem_public_key

# 秘密鍵の読み込み
with open('private_key.pem', 'rb') as f:
    _private_key = f.read()

print(">>>>> _private_key")
print(_private_key)

JWTトークンを生成する.


# ペイロードの作成
payload = {'data': 'Hello, World!'}

# JWTのエンコード
private_key = load_pem_private_key(_private_key, password=b'pass', backend=default_backend())
jwt_token = jwt.encode(payload, private_key, algorithm='RS256')
print(">>>>> jwt_token")
print(jwt_token)

👇出力👇


>>>>> jwt_token
eyJhbGciOiJSUzI1NiIsInR5cCI6IkpXVCJ9.eyJkYXRhIjoiSGVsbG8sIFdvcmxkISJ9.Zjf2SzartfmUEViq7UrZ5k8Xd_BsGfU_I30p7ry2ip2mYK-GPk0tZFu8bo2n0GWFQzYeJOMMoT-H3kHHK0l8zcjOtdUQEj1bMlkOXBRwvOvAl7qEzohDAlObMQRZ6MTqiRvNLilJIUZsluEKTt0RE_PCo-CrIUHPBqzt5zxcwgaw0QWLfetTaiHa_YYQgSaDX7TEGv0XrRVjiD58ebBu0V48d-WxNYSdqO6u57qGD7MWFtPELlMV1EDt_3NJN1wdiRWZpRz1TM49O4b3WztT-Ke3fgCsqB1O6siAZ_GKyeIklLU-sRoX4i310usCcyq3jpYTY-gjoZZg5BdPR_-sww

JWTトークンを検証する.


import jwt

# 公開鍵の読み込み
with open('public_key.pem', 'rb') as f:
    _public_key = f.read()

public_key = load_pem_public_key(_public_key)

print(">>>>> _public_key")
print(public_key)

try:
    payload = jwt.decode(jwt_token, public_key, algorithms=['RS256'])
    print(payload)
except jwt.ExpiredSignatureError:
    print('トークンが期限切れです.')
except jwt.InvalidSignatureError:
    print('トークンが改ざんされています.')

👇出力👇


>>>>> _public_key
<cryptography.hazmat.backends.openssl.rsa._RSAPublicKey object at 0x7fd3a0ec9190>
{'data': 'Hello, World!'}

これらの手順に従うことで,Pythonで非対称性JWTを実装することができます.ただし,実際のアプリケーションで使用する場合には,セキュリティの観点から,適切な秘密鍵と公開鍵を使用することが重要です.

https://colab.research.google.com/drive/1T7T9e7OkYMf4wXutchlq2ycfyMwlYEsQ?usp=sharing

非対称性JWTの活用方法

非対称性JWTは,WebアプリケーションやAPIにおける認証方式として広く活用されています.例えば,OAuth 2.0やOpenID Connectなどのプロトコルにおいて,非対称性JWTが用いられています.これらのプロトコルを使用することで,WebアプリケーションやAPIのセキュリティを向上させることができます.

結論

非対称性JWTは,より高度なセキュリティが求められるWebアプリケーションやAPIにおいて,推奨される認証方式です.秘密鍵と公開鍵を使用することで,鍵の漏洩や改ざんが発生してもトークンの真正性が保証されます.また,公開鍵の配布が簡単であり,アクセストークンの期限管理も容易に行うことができます.しかし,鍵の管理には注意が必要であり,パフォーマンスの低下も考慮する必要があります.

よくある質問

Q1: 非対称性JWTと対称性JWTの違いは何ですか?

A1: 非対称性JWTは,秘密鍵と公開鍵を使用する方式であり,対称性JWTは共通鍵を使用する方式です.非対称性JWTは,公開鍵で暗号化されたトークンを秘密鍵で復号化することで検証を行います.一方,対称性JWTは,共通鍵で暗号化されたトークンを同じ共通鍵で復号化し,検証を行います.

Q2: 非対称性JWTはどのように使われますか?

A2: 非対称性JWTは,WebアプリケーションやAPIにおける認証方式として広く活用されています.例えば,OAuth 2.0やOpenID Connectなどのプロトコルにおいて,非対称性JWTが用いられています.これらのプロトコルを使用することで,WebアプリケーションやAPIのセキュリティを向上させることができます.

Q3: 非対称性JWTを使用する際に注意すべきことはありますか?

A3: 非対称性JWTを使用する際には,秘密鍵と公開鍵の管理に注意する必要があります.秘密鍵の紛失や漏洩が発生した場合,トークンの検証ができなくなるため,秘密鍵の保管場所には注意が必要です.また,非対称性JWTは,対称性JWTに比べてパフォーマンスが低下する傾向があるため,処理時間を考慮する必要があります.

Q4: 非対称性JWTの実装方法は何ですか?

A4: 非対称性JWTの実装には,多くのJWTライブラリが存在します.これらのライブラリを使用することで,簡単に非対称性JWTを実装することができます.また,秘密鍵の保管には,安全な場所に保管することが推奨されます.例えば,クラウド上の秘密鍵管理サービスを利用することで,より安全に秘密鍵を管理することができます.

Q5: 非対称性JWTを使用するメリットは何ですか?

A5: 非対称性JWTは,秘密鍵と公開鍵を使用することで,より高度なセキュリティが求められるWebアプリケーションやAPIにおいて,推奨される認証方式です.公開鍵の配
信が必要であり,暗号化されたトークンを受け取ることができるクライアントの信頼性を確認することができます.また,非対称性JWTは,トークンの改ざんを防止するために,署名による検証が必要です.これにより,不正なトークンを受け取った場合,トークンが信頼できるものであるかどうかを判断することができます.

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