はじめに
近年、ChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM: Large Language Model)を利用したサービスが大きな注目を集めています。LLMを使えば自然言語での対話を通じて、プログラミングやデータ分析などの複雑なタスクを支援してもらうことができます。
しかし、LLMを使うためにはAPIキーの取得や環境構築など、初心者にとってはハードルの高い作業が必要です。そこでおすすめなのが、Dockerを使ってお手軽にLLMの実行環境を構築できる「Open Interpreter Docker」です。
この記事では、Open Interpreter Dockerの概要と使い方について、初心者の方でも分かるように丁寧に解説していきます。
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Open Interpreter Dockerとは?
Open Interpreter Docker(以下、OI Docker)は、LLMを使ってローカル環境でPythonやJavaScriptなどのコードを実行できるDockerイメージです。
OI Dockerをインストールすると、ターミナル上でChatGPTのようなチャットインターフェースを通じてLLMと対話できるようになります。自然言語で以下のようなタスクをLLMに依頼することができます。
- 写真、動画、PDFなどのファイルの作成・編集
- Chromeブラウザを制御しての調査
- 大規模データの可視化、クリーニング、分析
- その他、コンピュータで可能な様々な作業
ただし、LLMから出力されたコードをそのまま実行すると危険な場合があるため、実行前に必ずコードの内容を確認する必要があります。
デモ動画
記事書きました!
コスパ最強のHaikuをOIで動かしてみました!---
Open Interpreter Dockerで手軽に Claude 3 Haiku を使おう https://t.co/2T4jtTMNRgデータ分析などの込み入った処理は後日やってみます pic.twitter.com/J3u9XfBvoW
— Maki@Sunwood AI Labs. (@hAru_mAki_ch) March 27, 2024
セットアップ方法
OI Dockerを使うための環境構築手順は以下の通りです。
1. リポジトリのクローン
git clone https://github.com/Sunwood-ai-labs/open-interpreter-docker.git
cd open-interpreter-docker
GitHubからOI Dockerのリポジトリをクローンし、カレントディレクトリを移動します。
2. Docker Composeでビルド・起動
docker-compose up --build
Docker Composeコマンドを使って、OI Dockerのイメージをビルドし、コンテナを起動します。
以上で、OI Dockerを使う準備は完了です。
使い方
コマンドラインオプション
OI Dockerで使える主なコマンドラインオプションは以下の通りです。
-h, --help: ヘルプメッセージを表示
-ci, --custom_instructions: LLMにカスタムの指示を与える
-y, --auto_run: 生成されたコードを自動実行
-m, --model: 使用するLLMを指定
-t, --temperature: LLMの出力のランダム性を調整
-c, --context_window: LLMに渡す会話履歴の長さを指定
-x, --max_tokens: LLMの出力する最大トークン数を指定
その他のオプションについては、READMEやヘルプを参照してください。
使用例
例えば、OI Dockerのコンテナ内で以下のコマンドを実行すると、
docker-compose exec oi interpreter --model anthropic/claude-3-haiku-20240307 -y --custom_instructions 日本語で応答して --max_tokens 1000
- LLMとして「claude-3-haikuモデル」を使用
- 出力されたコードを自動実行(-y)
- 「日本語で応答して」というカスタム指示を追加
- 最大トークン数を1000に設定
した状態で、LLMとの対話を開始できます。
あとは、例えば以下のように自然言語でタスクを依頼するだけです。
sin cosの波形をPythonで表示して
LLMがPythonコードを生成し、sinとcosの波形を表示してくれました。
まとめ
OI Dockerを使えば、初心者の方でも手軽にLLMを活用したコード実行環境を構築できます。ChatGPTのようなチャットUIを通じて自然言語でLLMとやり取りできるので、プログラミングの知識が少ない方でもLLMの力を借りながら開発を体験できるでしょう。
ただし、LLMはまだ完璧ではないため、出力されたコードは必ず自分の目で確認し、理解することが重要です。うまく活用すれば、LLMは学習や開発を大きく助けてくれる心強い相棒になってくれるはずです。
ぜひOI Dockerを使って、LLMでのプログラミングを体験してみてください!
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