はじめに
最近注目を集めているRustのLLMフレームワーク「Rig」を、Roo-clineとDeepSeek V3を使って検証してみました。Rigは、LLMを活用したアプリケーション開発のためのスケーラブルでモジュラーなフレームワークです。
Roo-clineによる自動化プロセス
Roo-Cline で AIエージェントフレームワークのRigの環境構築からサンプルの実行までやってもらった!!!!
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プロンプト----->>>>>>>>>>
READMEを参考にしてサンプルを動かして
日本語のREADMEを作成してもいいよ
またrustは既に構築されています
>>>>>>>>>> https://t.co/yW9HHvd7fR pic.twitter.com/mBT6DLWWs2— Maki@Sunwood AI Labs. (@hAru_mAki_ch) January 13, 2025
入力したプロンプト
READMEを参考にしてサンプルを動かして
日本語のREADMEを作成してもいいよ
またrustは既に構築されています
このシンプルなプロンプトから、Roo-clineは以下のような一連の処理を自動的に実行しました。
1. プロジェクト分析とセットアップ
Roo-clineはまず、以下のような順序で環境の分析と準備を行いました:
1. README.mdの内容確認
2. rig-core/examplesディレクトリの構造確認
3. 必要な依存関係の分析
2. 依存関係の追加試行
Roo-clineは必要なクレートの追加を試みました:
# 最初の試行(失敗)
cargo add rig-core
# パッケージ指定での試行(失敗)
cargo add rig-core --package rig-core
# tokioの追加(成功)
cargo add tokio --features macros,rt-multi-thread --package rig-core
エラー発生時も、Roo-clineは状況を適切に分析し、必要な修正を行いました。
3. 環境変数の設定と実行
OpenAI APIキーの設定と実行:
set OPENAI_API_KEY=<APIキー>
cargo run --example simple_model
4. 日本語版READMEの作成
最後に、オリジナルのREADMEを基に日本語版のドキュメントを自動生成しました。
Rigの特徴
Rigは以下のような特徴を持つRustライブラリです:
-
LLM統合の簡素化
- 完全なLLM補完と埋め込みワークフローのサポート
- LLMプロバイダー(OpenAI、Cohereなど)とベクトルストア(MongoDB、インメモリなど)の共通抽象化
- 最小限のボイラープレートコードでLLMを統合可能
-
豊富な統合サポート
- モデルプロバイダー:
- OpenAI (ChatGPT)
- Anthropic (Claude)
- Cohere
- Google (Gemini)
- xAI
- Perplexity
- ベクトルストア:
- MongoDB
- Neo4j
- LanceDB
- Qdrant
- モデルプロバイダー:
サンプルコードと実行結果
シンプルな例のコード
use rig::{completion::Prompt, providers::openai};
#[tokio::main]
async fn main() {
// OpenAIクライアントとモデルの作成
// OPENAI_API_KEY環境変数が必要
let openai_client = openai::Client::from_env();
let gpt4 = openai_client.agent("gpt-4").build();
// モデルにプロンプトを送信し、応答を表示
let response = gpt4
.prompt("Who are you?")
.await
.expect("Failed to prompt GPT-4");
println!("GPT-4: {response}");
}
Roo-clineの実行ログ
Roo-clineは実行中、以下のようなログを出力し、各ステップの進行状況を報告しました:
タスクを分析します:
- README.mdの内容を確認する必要があります
- サンプルコードの実行環境を準備する必要があります
- 日本語のREADMEを作成する必要があります
Roo-clineとDeepSeek V3の特筆すべき点
-
エラーハンドリングの効率性
- 依存関係追加時のエラーを自動検知
- パッケージ指定の必要性を認識
- 適切な対処方法の選択
-
プロジェクト理解度
- READMEの内容を適切に解析
- 必要な依存関係を正確に特定
- サンプルコードの実行要件を把握
-
自動化レベル
- 複数のコマンドを連続実行
- エラー発生時の自動リカバリー
- ドキュメント生成の自動化
今後の展望
Rigは現在も活発に開発が続けられており、以下のような発展が期待されます:
- さらなるLLMプロバイダーとの統合
- パフォーマンスの最適化
- より豊富なユースケースのサポート
ただし、開発者も警告しているように、今後のアップデートでは破壊的な変更が含まれる可能性があります。プロダクション環境での使用は、これらの変更に注意を払う必要があります。
まとめ
今回の検証で、以下の点が確認できました:
-
Rigフレームワークの実用性
- シンプルな設計思想
- 豊富な統合オプション
- Rustの型安全性の活用
-
Roo-clineの効率性
- 最小限のプロンプトで複雑なタスクを実行
- エラーへの適切な対応
- 自動ドキュメント生成能力
-
DeepSeek V3との相乗効果
- 正確なコード理解
- 適切なエラーハンドリング
- 効率的なタスク実行
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