はじめに
こんにちは!この記事では、PyTorchとCUDAを使用するための環境設定について、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。最近、エラーに悩まされていた方が、Docker for Windowsの更新とWSL integrationの設定変更によって問題を解決した事例を基に、詳しく説明していきます。
問題の概要
まず、多くの方が遭遇する可能性のあるエラーについて見ていきましょう。
/opt/conda/lib/python3.10/site-packages/torch/cuda/__init__.py:118: UserWarning: CUDA initialization: Unexpected error from cudaGetDeviceCount(). Did you run some cuda functions before calling NumCudaDevices() that might have already set an error? Error 500: named symbol not found (Triggered internally at /opt/conda/conda-bld/pytorch_1716905979055/work/c10/cuda/CUDAFunctions.cpp:108.)
return torch._C._cuda_getDeviceCount() > 0
このエラーメッセージは、CUDAの初期化に問題があることを示しています。具体的には、CUDAデバイス(GPUのこと)の数を取得しようとしたときに、予期せぬエラーが発生したことを意味します。
解決策
では、どのようにしてこの問題を解決したのでしょうか?主に2つの手順を踏んでいます。
- Docker for Windowsを最新版(v4.31.1)に更新
- WSL integration(Windows Subsystem for Linux統合)の設定をOFFにする
これらの手順により、エラーが解消されました。
確認方法
問題が解決したかどうかを確認するために、以下のようなコマンドを実行しました。
(base) C:\Prj\LivePortrait>docker-compose exec app /bin/bash
time="2024-07-11T18:06:37+09:00" level=warning msg="C:\\Prj\\LivePortrait\\docker-compose.yml: `version` is obsolete"
root@c40255a253ae:/LivePortrait# python3
Python 3.10.12 (main, Mar 22 2024, 16:50:05) [GCC 11.4.0] on linux
Type "help", "copyright", "credits" or "license" for more information.
>>> import torch
>>> torch.cuda.is_available()
True
>>>
この結果から、PyTorchがCUDAを正しく認識できていることが分かります。
「UserWarning: CUDA initialization: Unexpected error from cudaGetDeviceCount()」解決した!!
《やったこと!》
✅Docker Windowsを更新(v4.31.1)
✅WSL integrationの設定をOFF
これでなんとか治りました!!! https://t.co/ZZw7rIbmvb pic.twitter.com/vODD1y6NzN— Maki@Sunwood AI Labs. (@hAru_mAki_ch) July 11, 2024
Docker設定の詳細
問題解決後の最終的なDocker設定は以下のようになっています。
version: '3.8'
services:
app:
build: ./docker
image: liveportrait:latest
volumes:
- ./:/LivePortrait
ports:
- "8890:8890"
deploy:
resources:
reservations:
devices:
- driver: nvidia
count: 1
capabilities: [ gpu ]
tty: true
command: python3 app.py
この設定では、NVIDIAのGPUを1つ使用するように指定しています。
Dockerfileの内容
環境構築に使用したDockerfileの内容も見ていきましょう。
FROM nvidia/cuda:12.0.1-cudnn8-runtime-ubuntu22.04
WORKDIR /LivePortrait
# 必要なシステムパッケージをインストールする
RUN apt-get update && apt-get install -y \
git \
cmake \
libsm6 \
libxext6 \
libxrender-dev \
libglib2.0-0 \
libx11-dev
# システムレベルで必要なパッケージをインストールします
RUN apt-get update && apt-get install -y python3-pip python3-dev
# pip をアップグレードする
RUN pip install --upgrade pip
# 必要な Python パッケージをインストールする
COPY requirements.txt .
RUN pip install -r requirements.txt
# タイムゾーンを設定する
# 例としてAsia/Tokyoを設定
RUN ln -sf /usr/share/zoneinfo/Asia/Tokyo /etc/localtime
# タイムゾーンを設定
ENV TZ Asia/Tokyo
RUN apt-get install libopencv-dev -y
# 作業ディレクトリを設定する
WORKDIR /LivePortrait
このDockerfileでは、CUDA 12.0.1とcuDNN 8を搭載したUbuntu 22.04をベースイメージとして使用しています。
各手順の詳細説明
Docker for Windowsの更新
Docker for Windowsを最新版に更新することで、WSL 2(Windows Subsystem for Linux 2)との互換性が向上し、GPUの認識に関する問題が解決される可能性があります。
更新手順:
- Docker Desktopを開く
- 右上の設定アイコンをクリック
- 「Check for updates」をクリック
- 新しいバージョンがある場合は、ダウンロードしてインストール
WSL integrationの設定変更
WSL integrationをOFFにすることで、Docker for WindowsがWSLを介してGPUにアクセスする代わりに、直接GPUにアクセスするようになります。これにより、CUDA関連のエラーが解消される場合があります。
設定変更手順:
- Docker Desktopを開く
- 設定(歯車アイコン)をクリック
- 左側のメニューから「Resources」を選択
- 「WSL INTEGRATION」セクションを見つける
- 「Enable integration with my default WSL distro」のチェックを外す
- 「Apply & Restart」をクリック
トラブルシューティング
もし上記の手順を試してもエラーが解決しない場合は、以下の点を確認してみてください:
- NVIDIAドライバーが最新かどうか
- CUDAのバージョンがPyTorchの要求するバージョンと一致しているか
nvidia-smi
コマンドでGPUが正しく認識されているか
まとめ
この記事では、PyTorchとCUDAの環境設定に関する問題とその解決方法について説明しました。主なポイントは以下の通りです:
- Docker for Windowsを最新版に更新する
- WSL integrationの設定をOFFにする
- Docker設定とDockerfileを適切に設定する
これらの手順を踏むことで、多くの場合、PyTorchとCUDAの環境設定に関する問題を解決できます。
プログラミングや環境構築は時に難しく感じるかもしれませんが、一つずつ丁寧に対処していけば、必ず解決策が見つかります。頑張ってください!
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