Model Context Protocol(MCP)の新しいサーバー実装として、Command Executor MCP Server v0.1.0がリリースされました。このサーバーは、LLMとローカル環境の間で安全にコマンドを実行するための橋渡し役として機能します。
はじめに:なぜCommand Executor MCPサーバーが必要か
LLMの能力を最大限に活用するには、ローカル環境でのコマンド実行が必要不可欠です。しかし、無制限のコマンド実行を許可することはセキュリティ上のリスクとなります。Command Executor MCPサーバーは、この課題に対して「事前承認されたコマンドのみを実行可能」というアプローチで解決策を提供します。
今日もSolomakerにプロダクトを投稿してみた!!!
「Command Executor MCP Server」
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こんな感じで「Terraform」を登録しておくとClaude Desktopからでもインフラコードを実行したりしてAWS環境を構築できたりします!!
マジで使い方は無限大です!!! https://t.co/6488gjF7aT pic.twitter.com/pUO51smCBa— Maki@Sunwood AI Labs. (@hAru_mAki_ch) December 22, 2024
主要な機能と特徴
1. 安全性を重視した設計
サーバーの中核となる安全性の仕組みは、index.ts
で実装されています:
const DEFAULT_ALLOWED_COMMANDS = [
'git',
'ls',
'mkdir',
'cd',
'npm',
'npx',
'python'
];
const getAllowedCommands = (): string[] => {
const envCommands = process.env.ALLOWED_COMMANDS;
if (!envCommands) {
return DEFAULT_ALLOWED_COMMANDS;
}
return envCommands.split(',').map(cmd => cmd.trim());
};
このコードは、実行可能なコマンドを明示的に制限しています:
- デフォルトで安全な基本コマンドのみを許可
- 環境変数によるカスタマイズ機能
- コマンドの厳格な検証メカニズム
2. MCP準拠の実装
サーバーはModel Context Protocolに完全準拠しており、以下のような機能を提供します:
class CommandExecutorServer {
private server: Server;
constructor() {
this.server = new Server(
{
name: 'command-executor',
version: '0.1.0',
},
{
capabilities: {
tools: {},
},
}
);
// ...
}
}
3. 堅牢なコマンド実行システム
コマンド実行は以下のような流れで安全に処理されます:
private isCommandAllowed(command: string): boolean {
const commandPrefix = command.split(' ')[0];
return this.allowedCommands.some(allowed => commandPrefix === allowed);
}
// コマンド実行のハンドリング
this.server.setRequestHandler(CallToolRequestSchema, async (request) => {
// コマンドの検証と実行
const { command } = request.params.arguments as { command: string };
if (!this.isCommandAllowed(command)) {
throw new McpError(
ErrorCode.InvalidParams,
`Command not allowed: ${command}. Allowed commands: ${this.allowedCommands.join(', ')}`
);
}
// ...
});
プロジェクト構成の特徴
プロジェクトは明確な構造を持っています:
command-executor/
├─ src/
│ └─ index.ts # メインサーバーの実装
├─ build/
│ └─ index.js # コンパイル済みJavaScript
├─ assets/
│ └─ header.svg # プロジェクトヘッダー画像
└─ package.json # プロジェクト設定
TypeScriptとモダンな開発環境
tsconfig.json
の設定は、最新のJavaScript機能を活用しつつ、型安全性を確保しています:
{
"compilerOptions": {
"target": "ES2022",
"module": "Node16",
"moduleResolution": "Node16",
"strict": true,
// ...
}
}
セキュリティ対策の詳細
-
コマンド実行の制限
- プレフィックスベースの厳格な検証
- 環境変数による柔軟な設定
- シェルインジェクション対策
-
エラーハンドリング
try { const { stdout, stderr } = await execAsync(command); return { content: [ { type: "text", text: stdout || stderr, }, ], }; } catch (error: any) { return { content: [ { type: "text", text: `Command execution failed: ${error.message}`, }, ], isError: true, }; }
-
環境分離
- 独立した実行環境
- 制限された権限
- 明示的な許可リスト
Claude Desktopとの統合
設定は非常に簡単です:
{
"mcpServers": {
"command-executor": {
"command": "/path/to/command-executor/build/index.js"
}
}
}
この設定により、Claudeはローカル環境で安全にコマンドを実行できるようになります。
今後の展望
v0.1.0は基盤となるリリースですが、今後以下のような機能追加が期待されます:
- より詳細なコマンド実行ポリシー
- リアルタイムのコマンド実行モニタリング
- プラグインシステムによる拡張性の向上
まとめ
Command Executor MCP Server v0.1.0は、LLMとローカル環境を安全に接続する重要な架け橋となります。セキュリティを最優先しつつ、柔軟な拡張性を備えた設計により、今後のAIアプリケーション開発における重要なコンポーネントとなることが期待されます。
サーバーのソースコードはGitHubで公開されており、MITライセンスの下で自由に利用することができます。
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