はじめに
このガイドでは、WindowsオペレーティングシステムでZedエディタをビルドする方法を、初心者にも分かりやすく解説します。プログラミングや開発環境構築の経験が少ない方でも、一歩一歩進めていけるよう、各ステップを詳細に説明していきます。
Zedとは
Zedは、高速で使いやすいモダンなテキストエディタです。プログラマーやデベロッパーのために設計されており、コードの編集や開発作業を効率的に行うことができます。オープンソースプロジェクトとして開発されているため、ユーザーが自分でビルドしてカスタマイズすることも可能です。
準備:必要な環境と知識
Zedをビルドするには、以下の基本的な環境と知識が必要です:
- Windows 10または11がインストールされたコンピューター
- インターネット接続
- コマンドラインの基本的な操作方法
- テキストエディタの使用経験(メモ帳でも可)
これらの準備ができていれば、以下のステップに従ってZedをビルドすることができます。
ステップ1:リポジトリのクローン
まず、Zedのソースコードをダウンロードする必要があります。これを「リポジトリのクローン」と呼びます。
- Git for Windowsをダウンロードしてインストールします。
- インストールが完了したら、「Git Bash」を開きます。
- 次のコマンドを入力してEnterキーを押します:
git clone https://github.com/zed-industries/zed.git
- ダウンロードが完了するまで待ちます。
このステップで、Zedのソースコードがzed
というフォルダにダウンロードされます。
ステップ2:依存関係のインストール
Zedをビルドするには、いくつかのソフトウェアやツールが必要です。これらを「依存関係」と呼びます。
2-1. Rustのインストール
Rustは、Zedの開発に使用されているプログラミング言語です。
- Rustの公式サイトにアクセスします。
- 「RUSTUP-INIT.EXE」をダウンロードして実行します。
- インストーラーの指示に従ってインストールを完了します。
すでにRustがインストールされている場合は、次のコマンドで最新版に更新してください:
rustup update
2-2. Rust wasmツールチェーンのインストール
WebAssembly(wasm)は、Webブラウザで動作する高速なバイナリ形式です。Zedの一部の機能にはwasmが使用されています。
次のコマンドを実行して、Rust wasmツールチェーンをインストールします:
rustup target add wasm32-wasi
2-3. Visual Studioのインストール
Visual Studioは、Windowsでのプログラム開発に広く使用される統合開発環境(IDE)です。
- Visual Studioのダウンロードページにアクセスします。
- 「Community」版(無料)をダウンロードしてインストールします。
- インストール時に、以下のオプションコンポーネントを選択してください:
- 「MSVC v*** - VS YYYY C++ x64/x86 build tools」
- Windows 11または10 SDK(お使いのシステムに応じて)
注意:v***
はVisual Studioのバージョン、YYYY
はリリース年を示します。
ステップ3:バックエンド依存関係のインストール(オプション)
Zedの協調作業機能を開発する場合は、追加の依存関係をインストールする必要があります。これは通常の使用では必要ありません。
3-1. 通常のインストール方法
3-2. Dockerを使用したインストール方法
Dockerがインストールされている場合は、以下のコマンドで簡単にすべての依存関係をセットアップできます:
docker compose up -d
ステップ4:ソースからのビルド
すべての依存関係がインストールされたら、いよいよZedをビルドします。
4-1. デバッグビルド
開発やテスト用のデバッグビルドを作成するには、次のコマンドを実行します:
cargo run
4-2. リリースビルド
最適化された高速なリリースビルドを作成するには、次のコマンドを実行します:
cargo run --release
4-3. テストの実行
Zedが正しく動作することを確認するためのテストを実行するには、次のコマンドを使用します:
cargo test --workspace
MSYS2からのインストール方法
MSYS2は、Windowsで Unix-likeな開発環境を提供するソフトウェア配布プラットフォームです。MSYS2を使用してZedをインストールする方法もあります。
- MSYS2をダウンロードしてインストールします。
- UCRT64シェルを開きます。
- 次のコマンドを実行してZedをインストールします:
pacman -Syu
pacman -S mingw-w64-ucrt-x86_64-zed
- インストールが完了したら、
zed
コマンドでZedを起動できます。
注意:MSYS2版のZedに問題がある場合は、MINGW-packagesのIssuesページで報告してください。
トラブルシューティング
Zedのビルド中に問題が発生した場合は、以下の対処法を試してみてください。
9-1. Zedのコンパイルができない場合
Rustが最新版であることを確認してください:
rustup update
9-2. 依存関係の不安定な機能に関するCargoエラー
次のコマンドを順番に実行してみてください:
cargo clean
cargo build
9-3. STATUS_ACCESS_VIOLATIONエラー
"rust-lld.exe"リンカーを使用している場合に発生することがあります。別のリンカーを試してみてください。
グローバル設定を使用している場合は、Zedリポジトリを別のディレクトリに移動し、親ディレクトリに.cargo/config.toml
ファイルを作成してカスタムリンカー設定を追加してみてください。
詳細については、Issue #12041を参照してください。
まとめ
このガイドでは、WindowsでZedをビルドする方法を初心者向けに詳しく解説しました。各ステップを丁寧に進めていけば、プログラミング経験が少ない方でもZedをビルドすることができるはずです。
もし途中で分からないことがあれば、Zedの公式ドキュメントやGitHubリポジトリを参照するか、開発コミュニティに質問してみてください。
Zedのビルドを通じて、オープンソースソフトウェアの開発プロセスを学ぶことができます。これは、プログラミングスキルを向上させる素晴らしい機会にもなるでしょう。頑張ってチャレンジしてみてください!
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