RustのLLMフレームワークRigをRoo-cline × DeepSeek V3で試してみた!

AI開発

はじめに

最近注目を集めているRustのLLMフレームワーク「Rig」を、Roo-clineとDeepSeek V3を使って検証してみました。Rigは、LLMを活用したアプリケーション開発のためのスケーラブルでモジュラーなフレームワークです。

Roo-clineによる自動化プロセス

入力したプロンプト

READMEを参考にしてサンプルを動かして
日本語のREADMEを作成してもいいよ
またrustは既に構築されています

このシンプルなプロンプトから、Roo-clineは以下のような一連の処理を自動的に実行しました。

1. プロジェクト分析とセットアップ

Roo-clineはまず、以下のような順序で環境の分析と準備を行いました:

1. README.mdの内容確認
2. rig-core/examplesディレクトリの構造確認
3. 必要な依存関係の分析

2. 依存関係の追加試行

Roo-clineは必要なクレートの追加を試みました:

# 最初の試行(失敗)
cargo add rig-core

# パッケージ指定での試行(失敗)
cargo add rig-core --package rig-core

# tokioの追加(成功)
cargo add tokio --features macros,rt-multi-thread --package rig-core

エラー発生時も、Roo-clineは状況を適切に分析し、必要な修正を行いました。

3. 環境変数の設定と実行

OpenAI APIキーの設定と実行:

set OPENAI_API_KEY=<APIキー>
cargo run --example simple_model

4. 日本語版READMEの作成

最後に、オリジナルのREADMEを基に日本語版のドキュメントを自動生成しました。

Rigの特徴

Rigは以下のような特徴を持つRustライブラリです:

  1. LLM統合の簡素化

    • 完全なLLM補完と埋め込みワークフローのサポート
    • LLMプロバイダー(OpenAI、Cohereなど)とベクトルストア(MongoDB、インメモリなど)の共通抽象化
    • 最小限のボイラープレートコードでLLMを統合可能
  2. 豊富な統合サポート

    • モデルプロバイダー:
      • OpenAI (ChatGPT)
      • Anthropic (Claude)
      • Cohere
      • Google (Gemini)
      • xAI
      • Perplexity
    • ベクトルストア:
      • MongoDB
      • Neo4j
      • LanceDB
      • Qdrant

サンプルコードと実行結果

シンプルな例のコード

use rig::{completion::Prompt, providers::openai};

#[tokio::main]
async fn main() {
    // OpenAIクライアントとモデルの作成
    // OPENAI_API_KEY環境変数が必要
    let openai_client = openai::Client::from_env();
    let gpt4 = openai_client.agent("gpt-4").build();

    // モデルにプロンプトを送信し、応答を表示
    let response = gpt4
        .prompt("Who are you?")
        .await
        .expect("Failed to prompt GPT-4");

    println!("GPT-4: {response}");
}

Roo-clineの実行ログ

Roo-clineは実行中、以下のようなログを出力し、各ステップの進行状況を報告しました:

タスクを分析します:

- README.mdの内容を確認する必要があります
- サンプルコードの実行環境を準備する必要があります
- 日本語のREADMEを作成する必要があります

Roo-clineとDeepSeek V3の特筆すべき点

  1. エラーハンドリングの効率性

    • 依存関係追加時のエラーを自動検知
    • パッケージ指定の必要性を認識
    • 適切な対処方法の選択
  2. プロジェクト理解度

    • READMEの内容を適切に解析
    • 必要な依存関係を正確に特定
    • サンプルコードの実行要件を把握
  3. 自動化レベル

    • 複数のコマンドを連続実行
    • エラー発生時の自動リカバリー
    • ドキュメント生成の自動化

今後の展望

Rigは現在も活発に開発が続けられており、以下のような発展が期待されます:

  1. さらなるLLMプロバイダーとの統合
  2. パフォーマンスの最適化
  3. より豊富なユースケースのサポート

ただし、開発者も警告しているように、今後のアップデートでは破壊的な変更が含まれる可能性があります。プロダクション環境での使用は、これらの変更に注意を払う必要があります。

まとめ

今回の検証で、以下の点が確認できました:

  1. Rigフレームワークの実用性

    • シンプルな設計思想
    • 豊富な統合オプション
    • Rustの型安全性の活用
  2. Roo-clineの効率性

    • 最小限のプロンプトで複雑なタスクを実行
    • エラーへの適切な対応
    • 自動ドキュメント生成能力
  3. DeepSeek V3との相乗効果

    • 正確なコード理解
    • 適切なエラーハンドリング
    • 効率的なタスク実行

参考リンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました