CLIからPythonでGIMPを操作する:上級者向けガイド

Python

はじめに

前回の記事「GIMPのPythonスクリプトで画像生成:初心者向け完全ガイド」では、GIMPのPythonスクリプトを使って、カスタムメッセージを含む画像を自動生成する方法を解説しました。今回は、その続編として、コマンドラインインターフェース(CLI)からPythonを介してGIMPを操作する、より高度な方法を紹介します。

GIMPのPythonスクリプトで画像生成:初心者向け完全ガイド
はじめにGIMPは強力な画像編集ソフトウェアですが、Pythonスクリプトを使用することで、その機能をさらに拡張できます。本記事では、GIMPのPythonスクリプトを使って、カスタムメッセージを含む画像を自動生成する方法を解説します。この...

この方法を使うことで、GIMPのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を起動することなく、画像処理を自動化できます。これは、大量の画像を処理する場合や、サーバー上で画像処理を行う場合に特に有用です。

デモ動画

環境設定

まず、必要な環境を整えましょう:

  1. GIMP(バージョン2.10以上)をインストール
  2. Pythonをインストール(GIMPに付属のPythonを使用)
  3. 必要なPythonライブラリをインストール: pip install art loguru

基本的なGIMP操作スクリプト

まずは、簡単なスクリプトから始めましょう。このスクリプトは、GIMPのバージョンとPythonのバージョンを表示します。

# hello.py
import subprocess

# GIMPで実行するPythonスクリプトを定義
gimp_script = r"""
# -*- coding: utf-8 -*-

from __future__ import print_function, unicode_literals
import sys
from gimpfu import *

# GIMPとPythonのバージョンを表示
print("Hello GIMP!!!")
print("Gimpのバージョンは " + str(pdb.gimp_version()))
print("Pythonのバージョンは " + str(sys.version))

# GIMPを終了
pdb.gimp_quit(1)
"""

# GIMPをCLIモードで実行するコマンド
commands = [
    "gimp-console-2.10.exe",
    "--batch-interpreter",
    "python-fu-eval",
    "--batch",
    gimp_script,
]

# サブプロセスとしてGIMPを実行
process = subprocess.Popen(commands, stdout=subprocess.PIPE, stderr=subprocess.PIPE)
stdout, stderr = process.communicate()

# 結果を表示
output = stdout.decode().strip()
print(output)

このスクリプトは、subprocessモジュールを使用してGIMPをCLIモードで起動し、指定したPythonスクリプトを実行します。

高度なGIMP操作スクリプト

次に、より高度なスクリプトを見てみましょう。このスクリプトは、テキストを含む画像を生成し、保存します。

# gimp_text_image.py
import subprocess
import os
from art import text2art
from loguru import logger

# ログの設定
logger.add("gimp_script.log", rotation="500 KB")

# GIMPで実行するPythonスクリプトを定義
gimp_script = r"""
# -*- coding: utf-8 -*-

from __future__ import print_function, unicode_literals
import sys
from gimpfu import *

# ログ出力関数
def log_info(message):
    print("INFO: " + message)

def log_success(message):
    print("SUCCESS: " + message)

# ASCIIアートを生成する関数
def create_ascii_art(text):
    art = ""
    for line in text.split("\n"):
        art += "*" * (len(line) + 4) + "\n"
        art += "* " + line + " *\n"
        art += "*" * (len(line) + 4) + "\n"
    return art

# テキスト画像を作成する関数
def create_text_image(text, font_size, output_path):
    print(create_ascii_art("GIMP Text Image Creator"))

    # 新しい画像を作成
    log_info("新しい画像を作成中...")
    width, height = 400, 200
    image = pdb.gimp_image_new(width, height, RGB)

    # 背景レイヤーを追加
    log_info("背景レイヤーを追加中...")
    background = pdb.gimp_layer_new(image, width, height, RGB, "Background", 100, NORMAL_MODE)
    pdb.gimp_image_insert_layer(image, background, None, 0)

    # 背景を白で塗りつぶし
    log_info("背景を白で塗りつぶし中...")
    pdb.gimp_context_set_foreground((255, 255, 255))
    pdb.gimp_drawable_fill(background, FOREGROUND_FILL)

    # テキストレイヤーを追加
    log_info("テキストレイヤーを追加中...")
    text_layer = pdb.gimp_text_layer_new(image, text, "Sans", font_size, 0)
    pdb.gimp_image_insert_layer(image, text_layer, None, -1)

    # テキストの色を設定
    log_info("テキストの色を設定中...")
    pdb.gimp_text_layer_set_color(text_layer, (0, 0, 0))

    # テキストレイヤーを中央に配置
    log_info("テキストレイヤーを中央に配置中...")
    pdb.gimp_layer_set_offsets(text_layer, (width - text_layer.width) // 2, (height - text_layer.height) // 2)

    # 画像を保存
    log_info("画像を保存中...")
    pdb.gimp_file_save(image, pdb.gimp_image_merge_visible_layers(image, CLIP_TO_IMAGE), output_path, output_path)

    # 画像を閉じる
    log_info("画像を閉じています...")
    pdb.gimp_image_delete(image)

    log_success("画像の作成が完了しました!")

# メイン処理
print(create_ascii_art("GIMP Script Start"))

output_path = r'D:\hello_gimp.png'  # 出力先のパスを適切に設定してください
create_text_image("Hello GIMP!", 36, output_path)

log_success("画像が保存されました: " + output_path)
log_info("Gimpのバージョンは " + str(pdb.gimp_version()))
log_info("Pythonのバージョンは " + str(sys.version))

print(create_ascii_art("GIMP Script End"))

# GIMPを終了
pdb.gimp_quit(1)
"""

# GIMPスクリプトを実行する関数
def run_gimp_script():
    logger.info("GIMPスクリプトの実行を開始します")

    # GIMPをCLIモードで実行するコマンド
    commands = [
        "gimp-console-2.10.exe",
        "--batch-interpreter",
        "python-fu-eval",
        "--batch",
        gimp_script,
    ]

    # サブプロセスとしてGIMPを実行
    process = subprocess.Popen(commands, stdout=subprocess.PIPE, stderr=subprocess.PIPE)
    stdout, stderr = process.communicate()

    # 結果をログに記録
    output = stdout.decode().strip()
    logger.info(f"GIMPの出力:\n{output}")

    logger.success("GIMPスクリプトの実行が完了しました")

# メイン処理
if __name__ == "__main__":
    print(text2art("GIMP Text Image"))
    logger.info("プログラムを開始します")
    run_gimp_script()
    logger.info("プログラムを終了します")
    print(text2art("Completed!", font="small"))

このスクリプトは、前回の記事で紹介したGIMP内部で実行するスクリプトを、外部のPythonスクリプトから制御しています。主な違いは以下の点です:

  1. subprocessモジュールを使用してGIMPをCLIモードで起動
  2. loguruを使用して詳細なログを記録
  3. artモジュールを使用してASCIIアートを生成

スクリプトの実行と結果の確認

  1. コマンドプロンプトを開きます。
  2. スクリプトのあるディレクトリに移動します。
  3. 以下のコマンドを実行します: python gimp_text_image.py
  4. 実行結果を確認し、生成された画像を確認します。

まとめ

CLIからPythonを介してGIMPを操作することで、画像処理を自動化し、効率化することができます。この方法は以下のような場面で特に有効です:

  1. 大量の画像を一括処理する場合
  2. 定期的に同じ画像処理を行う場合
  3. GUIを使用せずにサーバー上で画像処理を行う場合

今回紹介したスクリプトをベースに、さらに複雑な画像処理タスクを自動化することも可能です。GIMPのドキュメントを参照しながら、自分のニーズに合わせてスクリプトをカスタマイズしてみてください。

CLIからのGIMP操作は、画像処理の可能性を大きく広げてくれます。ぜひ挑戦して、あなたの画像処理ワークフローを次のレベルに引き上げてください!

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